会員の富樫と申します。
このたび皆様にお願いがあって、社長にブログに載せてもらうことにしました。
クラブにスノーホワイトという高齢馬がおります。
若い頃、リストラダイオーという名で船橋競馬場で活躍しました。
その後、競走馬を引退し、乗用馬として第二の人生を歩み始めました。
乗用馬としてもなかなか優秀で、当クラブの海宝社長は試合にいくたびに、
「また、あの白いのに負けた」
と悔しがっていたそうです。
どうしても勝てない強い馬だったのですね。
そのホワイト先生が(いろいろ難しいことを教えてくれたので、わたしはホワイト先
生と呼んでいます)、縁あって、ちばシティにやってきました。
乗馬の世界では、20歳を過ぎると高齢馬扱いされます。
だから、ちばシティに来たとき、すでにホワイト先生は高齢馬でした。
人に媚びることなく、いつも凛として、気に入らないとそっぽを向いて、まったく愛
想をふりまいてくれません。他の馬たちはごはん時になると大騒ぎして、一斉にがつが
つ食べ始めますが、ホワイト先生はいつも面倒臭そうに食べて、しかも、大抵、残して
しまいます。残りものは両隣の馬たちが食べています。乾草は好きですが、汚れていた
り、濡れていたり、地面に落ちていたりすると食べません。そういう乾草も、やはり、
両隣の馬たちが食べることになります。(今現在、両隣はスノーウェーブとブリランテ
です)
とても気難しいのですが、ニンジンだけは大好きでいくらでも食べます。
そのときだけは嬉しそうな顔をします。
ホワイト先生は暑さにもストレスにも弱く、発汗したり、血尿を出したりします。
とてもデリケートで敏感です。
去年の夏も、猛暑に苦しみましたが、スタッフの皆さんの努力のおかげで何とか乗り
越えることができました。
しかし、今年の夏を乗り越えるのは難しそうで、7月になってからは血尿が止まらな
くなってしまいました。ごはんもあまり食べず、日に日に痩せていきます。
ホワイト先生は、26歳です。
人間なら、よぼよぼのおじいちゃんです。
血尿が出ているのは、恐らく腎臓か膀胱が悪いせいで、内臓が弱っているので、それ
ほど多くの余命は残されていないと思います。
こんな年寄りになるまでがんばってきたホワイト先生を、最後は涼しい土地で過ごさ
せてやりたいと思いました。
北海道浦河の渡辺牧場にヤマトがいます。
とても環境のいいところで、7月になっても気温は20℃前後です。
できれば渡辺牧場に行かせてやりたかったのですが、高齢で体が弱っているため長距
離輸送をすることができません。輸送中に体調を崩したり、到着後に病気になる可能性
が強いからです。
いろいろ調べて、人から話も聞き、那須にあるブレーヴステイブルという養老牧場を
見付けました。
自分で実際に足を運び、代表の方のお話も伺ってきました。
他の土地から那須に移転してきたのは去年です。
できてから日が浅いので、まだ完成途上の養老牧場です。
馬房は広く新しいのですが、放牧地などはさほど広くはありません。これから森を伐
採して広げて行く、というところなのです。
今現在、10頭ほどの馬がいますが、どの馬もとても穏やかな表情で過ごしているのが
印象的でした。
しかも、人懐こいのです。よほどかわいがられているのだと感じました。
静かで、涼しい場所です。
東日本大震災の折りに引き取られた犬や馬もいます。心や体に傷を負った動物たちが
静かにひっそりと余生を過ごしています。
この国では毎年たくさんの馬が生産されていますが、その馬たちが生きていく場所は
、それほど多くはありません。
競走馬から乗馬クラブにやってくる馬たちというのは、それだけでかなり恵まれてい
ると思います。
乗馬クラブで、病気や怪我、高齢で働けなくなった馬たちは、どうなるのか。
ほとんどすべての馬たちはそこが行き止まりで、そこから先はないのが現実です。
ただ、わずかに養老牧場という小さな希望があります。
ホワイト先生は誰の優先馬になったこともなく、体験乗馬やビジターさん、部班など
に出ることが多かったので、あまり接したことのない会員さんも多いと思います。
わたし自身、ヤマトが怪我をして休養しているときに代馬として乗ったことがあるだ
けで、それほど縁が深いわけではありません。
しかし、このクラブにいる大切な馬たちの一頭であり、もう働けなくて苦しんでいる
のであれば、とても見て見ぬ振りができません。あと一年なのか二年なのか、それとも
もっと短いのか、どれほどの寿命が残されているのかわかりませんが、人生の最後を穏
やかに過ごさせてやりたいと願い、会員皆様のお力添えを仰ぐ次第です。
どうかよろしくお願いします。
ご不明な点があれば、富樫までお問い合わせ下さい。
富樫倫太郎